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皆さん、この言葉、聞いたことありますか? 日本では、この2,3年前から広がり始めました。
「トレーサビリティ(traceability)」は二つの用語trace(追跡)とability(可能)を合わせた言葉です。直訳すると「追跡できる可能性、能力」という意味になります。
つまり、食品の生産、加工、流通、販売等の各段階で、原材料の仕入先、販売先、生産・製造方法などの記録を記帳・保管することにより、食品とその情報を追跡し、さかのぼることができることをいいます。
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近年世間を騒がせた、BSE(牛海綿状脳症)、O157、残留農薬・無登録農薬、食品表示偽装問題等は、消費者の農林水産物をはじめとした食品の安全性に対する信頼を大きく損なってしまいました。
そこで、このような状況を改善していくためには、それぞれの農林水産物等の食品が、いつ・だれが・どこで・どのように作って(育てて)、どのように流通して皆さんに届いているかをたどることによって、食品事故が起きた時等、原因の追求と対応、食品の迅速な撤収・回収ができる仕組み(トレーサビリティ)を確立することが必要です。
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県においても、県産農林水産物の生産から流通・消費に至るまでの履歴情報を消費者に提供する体制を整備することにより、安全・安心な食料の安定供給を図るため、農林水産物全体および部門(米、青果物、畜産物、水産物、林産物)ごとのトレーサビリティシステム確立推進協議会がH15年度から開催されています。
特に、牛肉は国の法律によりトレーサビリティシステムが義務づけられており、皆さんご覧になったと思いますが、スーパー等で販売されている国産牛肉全てに個体識別番号が表示され、その番号でその牛肉の生産履歴が即座に分かるようになりました。
また、県産米や一部野菜でも、県内JAが中心となって栽培日誌の記帳を開始しています。
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皆さん、きのこはどのようにして作られているか知っていますか?また、きのこ栽培では農薬等はほとんど使われていないことも知っていますか?
県産きのこについても、上述の協議会の林産物部門で、H15年度から部会を開催しトレーサビリティの取組みを始めました。そして、今年度(平成16年9月~)から、生シイタケ(原木栽培、菌床栽培)、乾シイタケ、エノキ、ナメコ、ヒラタケ、パールマッシュ、マイタケ、マッシュルーム、越前カンタケの県内生産者に栽培日誌(部会で様式印刷、配布予定)を記帳してもらうこととしました。これにより県産きのこは、いつ・だれが・どこで・どのように作ったのか記録が残ることになります。
さらに、スーパーに並んでいる上述の県産きのこは、どのようにして、どれくらいの期間で生産されているのか皆さんに知ってもらうため、福井県特用林産振興会のホームページで標準的栽培暦も紹介もします。
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近年、きのこは食物繊維が多く、カロリーは低く、さらにいろいろな機能性成分も含まれ、健康食品として総消費量は増えてきています。また、新しいきのこが次々と開発され、昔に比べていろいろな種類の、しかも価格が安いきのこが店頭に並んでいます。消費者にとってはありがたいことですが、生産者にとっては、きのこ種別間のシェア争い、価格低下に伴うコスト削減、他県産きのことの競争等、大変厳しい状況です。この生産日誌記帳も、生産者にとって負担となるかもしれませんが、消費者の皆さんに、県外産よりも県内産のきのこを選んで買ってもらうためにも、安全・安心をアピールできるこのトレーサビリティを生産者等の協力のもとに確立していく予定です。
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